積み重ね

 

 毎月、二十日が過ぎたこの頃は、請求書の作成に追われどの会社でも担当者は大変だと思う。
ここのところぼくの会社でも、事務員のTさんが夜遅くまでパソコンとにらめっこする姿、プリンターが慌しく打ち出す音がぼくの部屋まで聞こえてくる。この作業がないと何処の会社も成り立っていかない。

 この姿や音は、今も昔もずっと繰り返されている。ほんとうに担当者は大変だ。伝票も手書きの時代には、ぼくにでも枚数を確認したり、電卓で合計を集計することくらいは手伝うことができた。しかし、今は電算化。何をどうやっているのかまったく分からない。そして、何ら手伝うすべはない。ましてや、本人は集中しているので声を掛けるのはご法度、退社する時に「ご苦労様!」が関の山だ。

 しかし、今日は特別な日、ぼくは恐る恐る声を掛けた。「Tさん!一周年パーティーしてあげないといけないね」って声を掛けてしまった。ニコッと彼女は微笑んでくれた。去年の今日が彼女の入社日だった。

 ここまでなるまでに、先輩からの指導は当然あったと思うが、一人もくもくとパソコンに向かう姿は、もう立派な一人前に見えた。

一人一人の成長が見れるのは経営者冥利につきる。彼女に限らず、みんな遅くまで良くやってくれる。嬉しいものだ。

そしてついつい、月刊PHP誌「12月号」の記事に重ね合わせてしまった。一周年パーティーなんて出来っこないので、この記事をプレゼントしたい。


                     積み重ね

 
 今年一年もまた、振り返ってみると、あっという間だった。その日その日をそれなりに忙しく懸命に過ごしてはきたけれど、結局、何をしていたのか。特にこれといったことも成しえず、目の前の雑事に取り紛(まぎ)れて過ぎてしまった。そんな思いがつのる。
 
 しかしそれでも、よきにつけ悪(あ)しきにつけ、さまざまな出来事に出逢い、経験、体験を重ねてきた。それらはみな、自身のものの見方・考え方、あるいは無意識の振る舞いや言動といったものにも、どこかで影響を与え、心に豊かさや広がりをもたらしているはずである。

 今はあまり成長したように思われないかもしれないが、こうして一年、一年をくり返しつつ、十年、二十年、三十年と経(た)てば、いつの間にか自らが大きく変化していることに気がつくであろう。

 日々の小さな出来事や経験の積み重ねが、今の自分をつくっている。自信をもっていい。一年前の自分とは決して同じではないのだから。


 
 ぼくも入社して35年、それにしてもこの間、劇的に変化してしまった。ぼくのようにならないで程ほどでいいと思う。






コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL